第347話人を騙すのは腕利き

「ジェームズ、ジェームズ……」

情熱的に身体を重ねた、そのあと。

ビアンカが再び目を覚ましたとき、ジェームズが眠っていたはずの側は、もう冷たくなっていた。

家の中も外も探したが、ジェームズの姿はどこにもない。

用事を片づけに行ったのか、それともルーシーに会いに行ったのか――ビアンカにはわからなかった。

もう感情を隠す必要はない。ビアンカは冷えた表情のまま階段を下りた。

ローテーブルの上には、初めてジェームズが残したメモが置かれていた。『父さんに呼ばれた。十分休んだら起きて何か食べろ。台所に、お前のために作ったお粥がある』

今のビアンカが、こんなもので心を動かされるはずもない。

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